朝早くに、榎トンネルを通りぬけると
走る車の上をさわやかな緑の枝とやわらかい
ピンクの綿毛のような花を咲かせている合歓の木が追う。
35年前
私に舞い降りた 綿毛の命のようだ。
若かった夫婦に
授かったばかりの命に、感動も喜びも味あう暇なく・・・・・・。
死と生のはざまで揺れる命、恐怖感だけが私の頭をいっぱいにする。
安静と点滴で命をつなぎとめるための
長い期間、ベットの上だけの生活は辛く苦しい。
お隣さんでは私と同じ体験をしている人の
泣き声が耳に入る。
注射をされるたびに
この子は正常に生まれるのだろうかと
不安で涙がいっぱいあふれる。
やっといただいた命
まるで合歓の木の花のようだった。
大切に大切に命を守ってきた。
合歓の木トンネルを通ると
優しい風が吹き
枝が揺れる
あの時
この子のために頑張ろうと思った。
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