赤ワインは小布施の2015年産、甘酸っぱい香。
グラスの向こうに映るカールベンクスの想いがスクリーンに映る。
今朝はゆっくりと起きた。
朝食の準備をしながら、1日の予定を立てる。
今日は私の休日。
義父は施設に入って一ヶ月になる。ひ孫の写真を見せると、頬の筋肉が和らぎ、
「大きくなった」と言う。
ホールに行こうと同室の方に誘われる。
「歩いていく」と虚勢を見せるものの、介護士さんに止められ、車椅子に乗る。
普通食がとれないせいか少し痩せて見えた。
認知症は思ったより進んでいなかったことに胸をなで下ろす。
栗山から十日町に向かう。
古民家レストランを目指す。
目的地は想像以上に重厚で趣がある。梁で作られカウンター、格天井の棚に目を奪われる。
古い建物の再利用はとても素敵だった。
地元のパン、茄子のスープ、豚肉ソテーにきのこのメインはとてもボリュームがあった。
デザートの黒イチジクは程よい甘さとシャーベットが口の中でとろける。
食べ終わる頃、若いスタッフの娘さんと雑談。
映画「雪の中のしろうさぎ」、娘が以前ドイツに住んでいたこと、
栃尾の油揚げの話に盛り上がる。
そして最後に、これからのご予定はと優しく声をかけていただく。
予定のないことを話すと「星峠の棚田」と古民家集落の竹所を教えてくれる。
この少し贅沢な気分に幸せを感じ夫に感謝……。
星峠の棚田を見下ろすと、栃尾の棚田を思い出す。
すると母のことが気になり始め、病院へ急ぐことにする。
越路を通ると、母を連れてきた紅葉園を思い出す。
もう二度と母と一緒にドライブすることはないだろう・・・・・・。
母の病室に入る。今日は氷がない。額に手を当て、右手の手袋を外す。
汗ばんだ手を拭いてやる。
抗生剤が効いてきたようだ。夕方、妹がやってきて、ふたりで母を見守り安堵する。
母の口は相変わらずへの字だったけど、先生の熱も下がりよかったです。の声に
安心して、妹から自宅に送ってもらう。
私の一日が終わった。
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