これでいいのです。
人生の道は自分で選びその道をまっすぐに歩く人もいるでしょう。
でも大概は環境によって道は決まるような気がする。政治家の子は政治家になり、医者の子は医者になり親の職業を継ぐことが定められた道のように。あぶらげ屋の子はあぶらげ屋になるように。
突然の事故により人生の道が180度変わってしまうこともある。
読みはじめから底なし沼のようにどんどんとぬかる道を歩く羽目になっていく主人公のかおりさん。たった数秒の出来事で人生は狂ってしまう。もちろん望んでなんかいない。小さな命を宿していた、かおりさんは数秒前までは女性としての最高の幸せを感じていたはずだったのに。
人を跳ねてしまったことから人生の歯車は狂いはじめる悲惨な道を歩くかおりさんに小説と現実とが交差して、なぜなぜと私自身がかおりさんに乗り移り、不安と恐怖心で頭がいっぱいになってしまった。テレビや映画と違う読み手次第の想像力の発揮は読書の醍醐味だろうか?
17年の長い年月の中、我が子に対する母性愛はどんどん膨らみ、我が子のためにだけ働く姿に、神様許してあげてください。助けてあげてください、と祈りながらページをめくっていました。
ひき逃げとは私の想像を遥かに超えた罪と罰。悲しみと離婚を強要したかおりさんの夫に深い怒りを感じまる。本当の愛はなかったのか?
幾多の困難の末に我が子との再会場面もなかなか難しい問答が繰り返されていた。それでも血の通った母は母であり目には見えなかった糸で結ばれていたのでしょう。夫の不正心を知ることでひとりで背負った罪と罰は熟柿していく。17年と言う長い年月を思い願った我が子との再会、かおりさんの全てを受け入れてくれる男性の登場に読者である私も救われたような気持ちになりこれが熟柿の意味だったのかと読み終えて胸の苦しみが薄れていく。
日日是好日
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