2018年1月29日月曜日

「スモーク」 嘘をください。

妹から
「私はこういう映画が好きなんだ」と渡された。
DVDには妹の書き込んだタイトル「スモーク」の文字。

1995年公開、アメリカ、ドイツ、日本の合作映画。
ニューヨーク、ブルックリンの小さなタバコ屋からはじまる。
映画タイトル「スモーク」の意味するものはなんだろうかと
あれやこれやと想像する。煙はタバコ、タバコは麻薬
結構危ない映画か?しかし全くそうではなかった。
タバコの煙の重さについて話すシーンがとても印象的だ。
煙に重さがあるのだろうか・・・・・・。

タバコ屋のオーギーと作家のポールの親交は
10年も同じ場所、同じ時間に撮影してきたオーギーのアルバムの
ページをまくるところからだ。アルバムには亡き妻がおさめられている。
過去と現在の入り混じった脚本に戸惑いながらも、私をくぎ付けにしてしまう。

嘘つき天才少年のラシードも泣かせてくれる。嘘つき少年がふたりの大人をふり回すのだが、ここにはオーギーとポールの望んでいた、煙のような家族愛を感じる。

ラストでオーギーの回想は嘘か真か、それを小説家のポールが書き上げる。
クリスマスの日にふさわしいホッとな物語に仕上げている。
私は思います。私が年老いてひとりでクリスマスを迎える時が来たら
嘘をたくさんください。
私はきっとこの映画「スモーク」 を思い出すでしょう。

第45回ベルリン国際映画審査員特別作品、まだご覧になっておられない方に
おすすめいたします。


キャノンのカメラが使われていました。日本合同映画の意味は、このカメラかしら?
もっと深いかかわりがあるのだろうか・・・・・・。


2018年1月28日日曜日

初午の日においなりさん


初午の日とは、 稲荷神が降臨されたことを
お祝いする日(誕生日)であり、
古来より「いなり=稲が成る」と五穀豊穣を祈願し
稲荷神社の使者であるきつねの好物の油揚げを
奉納する慣わしから福が舞い込むよう、
この日に「いなり寿司」を
いただくようになったそうです。

栃尾では
御祝い事に「栃尾の油揚げ」を使って
「あぶらげ寿司」が昔から作られてきました。

御雛祭り、お節句、お彼岸、お盆、お正月には縁者が本家の我が家に集まります。
祖母の姉妹、私が生まれた時はすでに亡くなっていた祖父の姉妹弟たち。
それに、叔母や従兄弟たちが集まるのですからそれはそれは大変なのです。
母の作ったあぶらげ寿司は、数枚のお皿に何十個も並べられました。
そして私が狙うのはあぶらげのはしっこです。
栃尾の油揚げを二等分します。そして甘しょっぱく煮た油揚げに寿司飯を
パンパンに詰めるのです。それを3等分にします。
いかめしを想像してください。
はしっこはあぶらげが袋状になって、あぶらげの量が多いというわけです。
子供たちの、はしっこ狙いは歳の大きいもの順でした。
こんな風に栃尾の油揚げは縁者が集まる時のご馳走でした。
だから、はしっこだけの栃尾の油揚げ寿司を豆撰で作り、
子供の頃の想い出(夢)を詰め込んだのです。
煮汁をたっぷり吸いこんだジューシーな甘さの「おいなりさん」には品格があります。
相撲界で例えるならば「横綱」?
さてみなさま今年の午の日に
品格のある「おいなりさん」を是非お試しください。



2018年1月26日金曜日

かまぼこさんとこんにゃくさん

降り続く雪の中の休日はどう過ごせばいいだろうか
夫は3メートルもあり、まるで
神社で見かけるしめ縄のように太い氷柱を二階の窓から振るい落としている。
今日は本を読む気にもならない。

午後になり
一番近いスーパーに行くことにした。
おでんにすることにきめて、
はんぺんと竹輪とこんにゃくとかまぼこを買って。

かまぼこの板についた、かまぼこの端、
母からかまぼこ板をもらうのはとても楽しみだった。
ほんの少し板についたかまぼこをたべるために。
こんにゃくは細長い大きさの真ん中に切れ目を入れる。
端っこを切れ目の中に入れてかえすとねじれて
リボンみたいになると
こんにゃくは、高級食材のようだった。
母のそばにいた幼い頃。

午前中に妹から電話。母の病棟にインフルエンザの患者がでてしまったので
病院への面会はできなくなったと。

おでんを作りながら……。少しだけしょっぱい涙がながれた。


2018年1月25日木曜日

ホワイトアウト

昨日のことです。いつもの時間に母を見舞うため
豆撰から「とちおトンネル」を抜けて、小貫を通り、
田井あたりにくると、前も後ろも車は全く見えません。
浦瀬に入り、コンビニあたりまでは、何とか妹と
会話しながら車に乗っていました。
でもコンビニを過ぎ田んぼ道を走り出すと
「みていて!」と運転手の妹の声。

視界全体が真っ白になって空間と地面の見分けが全くつかなくなりました。
ゆっくり、ゆっくり走ります。
私は前かがみになり、左右に首を動かすものの
一寸先は闇の世界でした。
前々日はトンネルの中で立ち往生し、今度はホワイトアウトの世界です。
時折、対向車のライトが見えるとホッとします。
道の両脇に立てられたポールだけが目印のようです。
長岡商業を過ぎると、道路が見えました。
ようやく、目的地の病院へ到着です。いつもの倍の時間がかかってしまいました。
母のベッドの向きが変わっていました。
私の顔を見るなり母は
「だ・れ・か・が、き・た」と繰り返しました。
妹と二人で、こんな雪の中、誰が来たのだろうか?と不思議に思いました。
母の右手に大きな手洗いの鏡があります。
その鏡に写る、私をみて「だれかが、きた」となったようです。
母の言葉を理解できるのは、私たち姉妹だけだと思います。

寝たきりでも、母は生きているのです。母に何をしてあげられるであろうか
まるでホワイトアウトのようです。

そして、数日前の記者会見をなさったKさんの気持ちが私にはわかるような気がしました。

2018年1月23日火曜日

同じ病室の仲間たち

母を見舞う
母の前にはT子さんが入院していました。
妹が「T子さん、こんにちは」と声をかけると
ケタケタと大きな声で笑いました。
妹と T子さんはコンタクトがとれるようでした。
しばらくしてから、私も妹の真似をしてみました。
「T子さん、こんにちは」
すると大きな口をひらき、ケタケタと笑いました。
その日、いつもの時間に母に「明日また来るね」と声をかけ
それからT子さんの方へ行きました。
大きな瞳はとじられ、長いまつ毛がかわいらしく見えました。

次の日、いつもの時間に病室に入ると
T子さんもT子さんのベッドも消えてなくなっていました。

その日から、私も妹の真似をして
同じ病室の患者さんに、声をかけることにしました。
名前を呼んでも、返事はありません。
でも、かすかに目をひらき、手を動かしてくれます。
せっかく同じ病室のお仲間ですもの声をかけてやらなければと・・・・・・。




「上」「下」の間には「中」あり

昨年暮れに購入した本は、西加奈子著「サラバ」だった。
お正月休みに読むつもりだった。
本の帯も解説も一切、気にとめなかった。
なぜこの本を手にしたかといえば
タイトルにどんな意味があるのかと疑問に思ったこと
それと作者の名前がわたしの娘と同じだったこと。
たったそれだけのことだった。

1月は比較的休みが予定通りにとれる。
何十年も週休2日というものを味合っていない私にとって
休日の過ごし方?はかなりの難問である。

たまっている家事を休日にあてるのは、実にもったいない。
何かをしないと損をしたような気になる。
でも、雪国栃尾ではなかなか、やりたいことを見つけることは
容易ではありません。
そこで、お正月に読むはずだった、「サラバ」を
読んでみるか、読もうと思って買ったんだから。

書き出しから興味がわく。それは外国で暮らすことになる主人公と娘の海外生活
というたった一つの接点からだったかもしれない。
最低の家事仕事、つまり食事づくり以外の時間は「サラバ」と携帯をセットに
にして読む私でした。
長編です。「上」を読み終え、「下」を読み始めると、主人公、友達やら、家族やらの状況変化がなかなかつかめないのです。でも疑いもせず、お得意の妄想と想像で一気読み。そして、ラストは涙涙でした。
しばらくして、その余韻を味合う私。なおかつ、この本の感動を私ひとりの胸にとどめておけず、お友達にメールし、「感動しました」とまで書く始末。

翌日の朝、なにげなくベットの後ろで発見、サラバ「中」の一冊が落ちているではありませんか。この瞬間私の頭も心も凍てついてしまいました。
あの感動はなんだったのだろう。
よくも、しゃあしゃあと「感動しました」なんて言ったものだ。
ということで昨日は「中」を一気読みしました。
なるほど、やっぱり、そうか・・・・・・。





2018年1月17日水曜日

新豆キャンペーンはじめます。



今日は本業の宣伝をさせていただきます!

 栃尾から下田に抜ける途中の山奥に

「人面」と書いて「ひとづら」という地域があります。
耕作放置された場所を豆畑に甦らせたのです。


農業・農村の元気回復と地域の活性化をはかるため
栃尾地域の農家と栃尾の油揚げを製造している豆撰(他もう1店舗)とで
本物の栃尾の油揚げづくりに取り組んできました。
まだまだ新潟産岩船地区の豆が主流ですが
豆撰の年間使用量の10パーセントを占めるように
伸びてきました。
そこで、栃尾産大豆を使って、正真正銘の栃尾の油揚げ「新豆キャンペーン」
企画いたしました。
栃尾産大豆は栃尾の油揚げを作る過程で豆乳とおからに分かれます。
この「おから」を再利用して肥料ができます。
そして、そのおからの肥料を使って、豆は育ちます。
もっとも、環境に優しい リサイクル型というわけです。

是非この期間中に新豆の香りいっぱいの美味しい栃尾産栃尾の油揚げ
ご賞味ください。


2018年1月16日火曜日

配達の帰り、おとぎの国へ寄り道しちゃいました。


 
 昨日の
三条への配達帰り道
下田を廻って五十嵐川のほとりに集まる
白い群れを見つけました。
車から降り、しばらく観察。
川べりには、大きなカメラをもって、椅子に座っている人が
いました。飛び立つ瞬間のシャッターチャンスを 狙っているように
見えました。
どこで、どんなチャンスに遭遇するかわからいものです。
やっぱり、一眼レフを常備しておくべきだったと反省。
(うまくとれなかったからその言い訳です)
でも、青い空と白鳥の群れの美しさは
おとぎの国にきたようでした。
たまに、配達の車に乗せてもらうのもいいものでした。




2018年1月14日日曜日

渡る世間の鬼嫁と鬼妻の心の中

朝食準備
恵方巻きを作りました。
ちょっと変わっています。巻くものは「あぶらげロール巻き」です。
寒い雪の中、長靴を履いて、南天の葉と赤い実をとってきて
お皿に盛りつけ・・・時計の針は6時半をまわりました。
義母はリビングを出たり入ったりしています。
私の心の中
「ばあちゃんさ、じいちゃんが朝まだ支度ができていないのにじいさんが
テーブルにつくと本当に嫌だ!って言っていたよね。忘れたんだね」
と渡る世間の鬼嫁のつぶやき。

次に堂々たる言い訳
「それから・・・お父さんごめんね。切干大根煮だけどさ、みりんと酢間違った。
珍味だけどいい味よ・・・」
「また、間違ったのか!」
「仕方ないでしょ」と渡る世間の鬼妻はつぶやく。


2018年1月13日土曜日

給湯器が凍ってしまいました。

起床
朝の仕事始めにコーヒーをいただこうと
蛇口を右に回すけれど、お湯がでません。
左に回してみると、それはそれは冷たい水がでてきました。
洗面所に行って同じことをするけれどやはり、お湯は出ませんでした。
仕方なく(この頃仕方ないことが続きます)
お水からコーヒーを沸かしました。
仕方なく、冷たい冷たい水で顔を洗います。
両手ですくう水は手のひらが赤くなるほどです。
1回、2回、3回目になったら
おやおや
給湯器のない時代、祖母は火鉢か囲炉裏で沸かしたお湯をもってきてくれ
洗面器に入れてくれたっけ・・・。
そのお湯で顔をあらったっけ・・・。
お米をとぐ母の手は真っ赤にはれていたっけ・・・。
「しゃっこい」と泣きべそをかいて
玄関に入ったっけ・・・。
長靴の中は雪でびしょびょ。私の泣き顔を見て祖母は母を叱っています。
「学校から帰る時間なのだから、道つけをしなかったのかい 」と。
我が家は長い石段を上った小高い丘の上に家がありましたから
道つけに1、2時間かかっていたのではないだろうか
道つけの後から、後から雪は積もったはずだろう・・・。
母が祖母に怒られているのを見て、私は泣いて家に帰ったことを悔やみました。

しゃっこい水で顔を洗うも、いいものだ。と思いました。


2018年1月12日金曜日

栃尾の晴れ間

久しぶりに、オリナスまでカメラを持って歩きました。
昨日の風雪はまるで嘘のように
今日は青い空と
きらきら光る白銀の世界です。
雪、氷、川の音が心地よく響きます。








2018年1月11日木曜日

かさじぞうを読む

孫のためにお友達から届いたたくさんの絵本の山。
その中から「お母さんのところに残しておくね」と渡された一冊は
「かさじぞう」です。
母を見舞い、今日はこの絵本を読みました。
下半身まひに認知症の母です。
首が右に傾いているので、斜視のような状態です。
私が手や足をマッサージすると「痛い」と言います。
かすかな声ですが、それは意識があるということです。
時々私の名前や妹の名前も忘れてしまいます。

そんな母に病室から廊下まで響きそうな声で私は
絵本を開き読みます。
母はじーっと絵本をみつめています。
時々、疲れるのでしょうか目をそらしますが
私の声を聞き、また絵本に目を移します。

まだまだ母は聞こうとする力、見ようとする意欲があるようでした。
そして、この懐かしいお話が母の心に届くのではないだろうかと
思うのです。
「また、読んでやるからね」と私は母に言いました。


1月11日降り続くドカ雪!仕方ありませんよ。


朝いつものように目覚め
窓から外をながめます。
20センチくらいの積雪かしら?
除雪に出ていく夫。
玄関と駐車場の雪を除いて戻ってきた夫の一言。
「30センチはあったぞ」
「雪国なんだから仕方ありませんよ」
とわたしは手抜き雑煮をテーブルに並べます。
さて、出勤時間です。
な、な、なんと除雪したはずの、玄関先や車庫前は雪が朝ほど
積もっているではありませんか。
「仕方ないさ、雪国なんだから」と夫から豆撰に車で送って もらいました。
店の脇は社長が除雪した雪の山ができていました。
栗山から通っているスタッフは除雪車が来ないので、遅刻するとのこと。
仕方ありません。雪国なのですから・・・・・・。
9時半頃に彼女が「ありがとうございました」と出勤。
「仕方ありません。早かったね」とその苦労を労う。
今日の打ち合わせを済ませ、パソコンに向かい
伝票打ちをしている間の1時間ほどで
外の雪は全く止まずに、もくもくと降っています。
外にでてみると、前が見えません。
朝、社長が除雪し、私が除雪し、今度はスタッフが除雪です。
「仕方ありません。雪国ですから」

栃尾に住んで63年、栃尾はとても素晴らしい自然と水と油揚げの
美味しいところです。自慢の故郷です。でもこのドカ雪ばかりは
ご遠慮したいと思ってしまいます。


2018年1月9日火曜日

マイナス思考とプラス思考

いつもの毎日がはじまりました。
義母は孫とひ孫がアメリカに帰ってしまって
とても、寂しそうです。
愛猫のまめは
なんだかうれしそうです。
孫がリビングにいると
そっーと入ってきて、彼女を偵察していました。
相手が自分よりも弱い者と認識するとへっぴり腰はなくなり
堂々と彼女の 前に出てきました。それでも彼は心の底で
俺の居場所をとったライバルと敵対心をしのばせていたのです。
だから今はのびのび、のんびりとストーブの前で転寝をしています。
わたしといえば
朝食の手をぬく。
お掃除の手をぬく。
だからと言って、何かをするでもありません。
だらだらとテレビを見ては
「星野監督の死は早すぎだね。お父さんあと4年しかないね」
「でもさ、ばあちゃんは93歳だからさ、28年もあるわね」
など……わたしはまるで水晶占いのおばさんにでも変身したかのように
つぶやくのです。

でも、これではいけません。
第一回大河ドラマを見逃してしまったから
西郷どんの原作でも読んでみようか?
何回も何回も挫折を繰り返しているけど、今一度英会話教室に通ってみようか?
娘がとうとう作らなかったピザの材料が戸棚にあるから
お試しに作ってみようか ?
正月に体重増加をこのまま放置していいだろうか?
世界で3番目に幸せと感じる国民のいるアイスランドにいつか行ってみたい?
などなど・・・・・・。
さてはて、何から取り掛かりましょうか?


2018年1月7日日曜日

想いでギャラリー

想いでのスナップ写真です。
栃尾の春はまだ遠い2016年2月のこと。
有名人のおふたりとその仲間たちで裸押し合いを見学参拝いたしました。
今年も「裸押し合い」ミニツアーを行いたいとひそかに思っております。





2018年1月6日土曜日

涙こらえて、こらえて、こらえていたその矢先!

台風が我が家を直撃して
2週間停滞して、去っていきました。
残ったものは、おもちゃのピアノとクリスマスツリー。
玄関には、今度いつ履くかわからない長靴2足並んでいました。

アメリカと日本は遠く離れていますが
毎日のようにiPadでお互いの顔を写し、話はしていたのです。
ところが  長岡駅に迎えに行った時、娘の胸に抱かれている孫の顔は
あまりにも小さくて、小さくてガラス人形のように真っ白くて
今にも壊れそうで
「どうしよう」と困惑してしまいました。
それが
お座りができるようになり、人見知りも覚えました。
私が絵本を何回も読んでやると、本をめくるしぐさをします。
私が「ちょいな、ちょいな」と両手首を動かすと
それらしく、紅葉の手をひねり真似をします。
座卓に両手をのせ、腰と両足でふんばるのです。
愛おしくて愛おしくて
昨日はお別れの日です。
長岡駅に送りに行く車中、涙をこらえてこらえてこらえていました。
すると突然娘が、
「お父さん!戻って!忘れた」
「何を」
「携帯」
「お母さんのこと言う資格ないね」となぜかここで
娘婿はいいました。・・・・・・?


2018年1月4日木曜日

93歳の誕生日

満93歳の誕生日でした。
娘婿の提案です。
おばあちゃんの誕生日を祝いたいと。
チョコレートケーキには
「お誕生日おめでとうヒサイさん」と書かれています。
ろうそくはさすがに93本は立てられません。
それでも5本のろうそくに明かりを灯しました。
フーっと息を吹き、火を消す時の義母の顔は嬉しさで緊張していました。
チョコレートケーキを切り分けると娘婿は言いました。
「このケーキは僕からのプレゼントですから僕にお金を払わせてください」
そして娘はこう言いました。
「ばあちゃん、生まれて初めて誕生日を祝ってもらったね、きっと」

私は孫の顔を見つめ
この子の誕生日のお祝いをみんなですることがあるのだろうか……。と
明日アメリカに帰っていく娘家族、少し寂しさがこみ上げてしまいました。

2018年1月3日水曜日

この子の未来は?私の未来は?

テレビから流れる青空が羨ましくて
昨日は見附に行ってみました。
隣の市なのに
屋根には全く白いものがありません。野菜中心のバイキングのお店です。
5ヶ月の孫は、10日前に来日した頃に比べると私たち家族にも随分慣れましたので
かわるがわる抱っこし、バイキングを楽しみました。
バイキングがこんなに役に立つとは思いませんでした。
主婦業が専門でない私にとっては和食以外作れないからです。
1日はあっという間に過ぎ、お夕飯はマグロ丼とレンコンのキンピラ。

義母はひ孫の顔を見ては、嬉しそうに笑います。ひ孫もそれに応えます。
楽しい夕食もそろそろ終わりに
7時半が孫の起きている限界時間ですから。
その後、
夫は一人でワインや日本酒を飲んでいます。
私はその脇でトドのように横たわり、うたた寝をしています。

夫はきっと施設に入所している自分の父親のことを考えているでしょう。
私は病院で過ごす実母のことを思い出します。

孫は見るもの、触るものに興味を示しています。
この子の未来は、私の想像できない無限の
可能性があるでしょう。
日本語、イタリア語、英語を話し、世界を渡り歩くのだろうかと
93歳、86歳の義父母、実母と重ね合わせると
不思議な気持ちになります。
さて、63歳の私の未来は?
今日でお正月休みも終わります。
あらあら、もう豆撰モードに入っているではないか
世界旅行は
まだまだ先になりそうです。





2018年1月1日月曜日

探偵物語

あけましておめでとうございます。

おいらは今年人間様だったら80歳を迎える。
この家の大婆さんの次に長老だ。
そのおいらの座に突如侵入してきた奴がいる。
アメリカ生まれだってよ。
ふーんおいらだってよ、ご先祖様アメリカだぜ。
そいつを敵視しているわけじゃあないけど、
ちょっとくらいのヘマは大目にみてほしいぜ。
順調に年をとっているのは、新米婆さんだけじゃないさ。
おいらだって、胃も悪くなるさ。
時々ゲロを出したからと、天井に抜けそうな大きな声で「また!」っていうのやめて欲しいんだな。新米ばあさん!
新年のご挨拶のお客様は去年までは
まあ、可愛いいいってちやほや言っていたけど、

みんな、おいらのことは無視さ。
おいらはこの家にもらわれてきて16年だぞ。長〜いことアイドルだったんだ。
それなのに、あいつは初めてこの家にやってきてまだ10日だと言うのに、
チヤホヤされてまるでお姫様じゃないか
どうせ、おいらは一匹狼、いや猫族さ。
おいらが、遠慮しながらニャーとご飯をおねだりすると
新米婆さんは
冷たい声でこういうのさ
「うるさいわね、わかっているわよ」
おいらのアイドル時代はもう二度と来ねえのかな。
まあまあ、許してやるよ、新米婆さん!元旦早々がんばっているしね。
薬師丸ひろ子と松田優作の昔の映画を3回に分割して観て
そしてこうつぶやいていた
「kiharu」が「haruki」だったら
今私ここにいませんから

今年一年、無償で探偵やってやるか
生活の為。