2016年11月3日木曜日

チョコレートドーナツ

映画のはじまりに、少し戸惑ってしまった。
私の年代ではゲイを完全に受け入れられる人は
よほどの見識者であり広い心の持ち主くらいだと思い込んでいました。
ふたりの主人公の出会いのシーンから始まるのですが、そこにダウン症の子どもの登場で
映画を観る態度と興味が一変してしまいました。
子どもの母親は麻薬常習犯で、刑務所に入る。施設に閉じ込められるより
ふたりは愛を持って引き取るのです。弁護士とゲイバーで働くふたりの関係を
表に出さなければならなかった。弁護士は、ゲイバーで歌い手の、本気で、愛情を持って、ダウン症の子どもを引き取ろうとする純粋な気持ちにうたれ、自分も勇気を出すのです。

ゲイへの偏見を取り払ってくれる、感動映画に仕上げたのは、ダウン症の子どもへの関わり方が大です。
ここで考えさせられるのは、自分の中に潜んでいる偏見です。
ダウン症の子どもは保育園時代に関わっていました。他の幼児と一緒に保育園生活を送るにはとても難しく問題は山済みでした。その後、専門家の指導のもとで私はまるで想像できなかったダウン症の子どもの成長を思い出しました。

ゲイであろうと、そんなことは関係ない。必要なのは愛であると思っているふたりが、裁判で負けてしまうのです。
胸が締め付けられました。司法とはたてまえで決めるものなのかと、苛立つ。
最後はもっと切なくなるのです。

この映画で思い出したことは、もう一つありました。
娘がドイツの大学院時代。実習で半年勉強をさせてもらったランドスケープ会社の
社長は同性愛者だったこと。
娘は言いました。日本と違って、偏見はないし、とても素晴らしく、良い人たちだと。
その時は、理屈で理解しようとしましたが、なかなか全部を受け入れることはできませんでした。でも、この映画は、私の中に潜んでいた偏見を取り除いてくれたようです。
映画って本当に素晴らしいものです。この映画を観るまでの私と観終わった今では
全く考え方が違ってくるのですから、観る人の年齢、立場にもよりますが
ゲイや障害児に対する偏見について、考えるきっかけになる映画には間違いないと思いました。

0 件のコメント: