2017年11月25日土曜日

白い壁と窓

ベッド3台が病室にあります。
一人はお茶とヨーグルトのおやつを食べます。
手が少し不自由だから、
途中で介護士さんに手伝ってもらっています。
お隣さんは昨日お腹が痛くなったので、今日はお茶だけ。一口二口飲んでいました。
母は薄眼を開けています。
右手の手袋を外してやりました。
少し汗をかいています。
その右手を私の右手にとって、グー、パーを繰り返すのにも
私の手助けが必要です。
時々「いたい」と
反射的に言葉だけは出るのです。

「これはだれだ」と聞く私はとても意地悪な娘かもしれません。
隣の病棟は白くて高い建物です。
前の病棟はカラスが山に帰る途中、新幹線と競争していたのを見ることができたので
カラスの歌を歌ってやりました。
この病棟はほんの少しの曇り空が見えるだけです。

母は口を膨らませて眠ってしまいました。
アイパッドを取り出し、孫の写真を見ます。
表情がとても豊かです。
何語かわかりませんが、おしゃべりもします。
笑った顔、泣いた顔、怒った顔
どの顔を見ても微笑ましくなります。

母も孫も大切な親であり、孫です。
多分、母は病気が回復して日常生活が送れることはないでしょう。
孫は一日一日成長します。
あまりにも対照的な母と孫です。
この道を歩きはじめた孫
この道を歩き続け、疲れてしまった母
どちらも私の生きがいかもしれません。





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