2017年12月12日火曜日

80歳の老婆、夫と手をつなぐ幸せを語る

お昼休みに母を見舞うようになってから、ずいぶん月日が過ぎました。
今日のお天気は大荒れです。
少し時間に余裕をもって、妹と病院に向かいました。
途中、お昼ご飯にパンを買い、
病院の5階の小さな面談室でいつものように食べていました。
すると、80歳くらいのおばあさんが
「御邪魔します」とご挨拶。私達姉妹も会釈をしました。
おばあさんは、ご自分で作ってきたお弁当をレンジで温め、
隣のテーブルに腰をおろします。
しばらくすると、
「すみません、ふたが開かないのです。昔ものですから
お弁当があけられなくて・・・」
私はそばに行き、お弁当の蓋を開けようとするけれど
なかなか開きません。妹にお願いしても、開きません。
私と妹は「熱くなってしまったので、少し冷ましましょう」
おばあさんは「すみませんでした」とちょっとがっかりの表情です。
3分くらいしてから、妹がふたたび挑戦しました。
開きました!
「ありがとうございました、これでお昼が食べられます」と
優しい笑顔で御礼を言います。
すると、今度は紙コップと水筒を私達のところへ持ってきて
コーヒを入れてくれました。
それから、おばあさんの話がはじまりました。
「私達は昔の人だから、夫と手をつないだことなどありませんでした。
でも今私は病気で何もできない夫と手をつないでいます。
私は目が悪くて、白内障だといわれました。
幸いに手術をすれば治ると言われたのですが…。歯も悪くて…
いいところが何もないのです。でも私にできるたったひとつのことがあります。
夫のそばにいてやれることです」と嬉しそうに笑顔で話すおばあさん。


お弁当のふたが開けられないことを
私たちに話し助けを求める可愛いくて、品のあるおばあさん。
「お先に行きます。またお会いしましょう」とご挨拶して私達は母のところに
向かいました。


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