雪の降るこの季節になると、必ず思い出す
新美南吉作「手ぶくろを買いに」
もう長い事、実母は利き手である右手にピンク色の手ぶくろをはめています。
経管医療で、鼻から胃に流される命の管をひっぱらないためです。
私と妹が見舞っている間だけは、手ぶくろを外してやります。
ほんの2時間弱です。
今日も母の手ぶくろをはずと
気のせいか少し
冷たく感じました。
母の手に私の手を重ね握りしめます。
私の手がちんちんとつめたいので
母は自分のセーターのあまり毛糸で
5本指のてぶくろを編んでくれた、遠い昔昔がよみがえります。
病室から見えるビルや家々の屋根には白いものが
ふんわり積もっています。
風もあり、窓に時々雪があったって、水滴がつきます。
今日は12月27日水曜日
28日、29日30日、31日と指を折りながら
「5回眠ると正月だよ 」「お正月に食べるものなんだ」と尋ねました。
小さな小さな声の風が「も、ち」となでてきました。
母に何かしら聞いて、知らん顔されると
大きなため息とともに「仕方ないか」と私もため息をつきます。
でも、ほんの些細なことでも、うなずいたり、首を横にふったり、かすかな声を
発してくれると
涙がこぼれそうになりなります。
「明日また来るからね。手ぶくろつけるね」
小さくうなずく母。
ちんちんお手手が冷たいよ
子狐は母狐からもらったお金をもって
帽子屋さんに行きました。
人間は僕が間違った方の手を出したけど
手ぶくろを売ってくれたよ・・・・・・。
このお話は私が小さい時に母が語ってくれた物語です。
私も保育園の子供たちに何百回語ったでしょうか
娘にも語りました。
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