ババにはひとりだけ孫がいます。
イタリアに住んでいます。
小学2年生です。
ババと孫はラインでいつもお話をします。
この日も、いつものように孫からラインがきました。
「今日は抹茶ロールケーキを作るの。見ていてね」とペンギンさんのついたエプロンをつけて大喜びです。
まず、紙に材料のメモを書きます。
コムギコ100g
さとう100g
たまご白5個
たまご黄色5個
ぎゅうにゅう40g
サラダオイル40g
メモを書き終わると今度はたまごを割ってたまごの殻に黄身を残し、白身はボールに落とします。
黄身が割れて白身に入ってしまうとメレンゲができなくなるらしく、ママに注意されます。失敗したたまごは5個です。だから全部で10個も使いました。
失敗したたまごは明日のお弁当に入れる卵焼きにする事にしました。
白身を電動泡立て器で混ぜます。孫の手は小さいので結構重くて大変そうです。
「ババみてみて、だんだんフワフワになってきたでしょ」
ママが少しずつ砂糖を入れます。孫が混ぜます。
ババはパソコンの画面をみて「上手だね」と声をかけます。
すると孫は指にフワフワの未完成なメレンゲをちょっとだけのせて
「あじみ、あじみ。ババ美味しいよ」と大きな目をさらに大きくして大満足の笑顔。まるでお日様の顔です。
味見は一回でなく何回もしました。
「さとうの固まりがあったよ」
今度はママが混ぜます。ママはメレンゲの入ったボールをひっくり返しています。抹茶を入れてさらに混ぜ混ぜ
これでメレンゲの完成です。
次にたまごの黄身と小麦粉とオイルを入れて
孫が混ぜます。この時ママは作り方のポイントを孫に伝えています。「混ぜるヘラを縦にして、切るように」と言います。メレンゲの入った生地はトロトロになっていい感じです。孫はここでも「あじみ、あじみ」を繰り返しました。一体何回味見をするのでしょうか?
ママが言いました。「あら、少しオイルが残っています」と。オイルは水と違うのでコップにくっついていた分が残ったのかなとババは思いました。
最後に抹茶を漉し器に入れてトロトロの生地に入れます。もう一度サクサクと混ぜます。
一番最初に準備していた型にトロトロの生地を入れます。ここはママの仕事。
オーブンに入れて待つ事17分。
その間に生クリームを作ります。
生クリームに砂糖を入れて電動泡立て器で混ぜます。孫は手が疲れてきたのでママとバトンタッチ。
フワフワの真っ白い雲のような生クリームの出来上がり。
するとここでも孫は「あじみ、あじみ」と言いながら泡立て器についたクリームを丁寧に舐めていました。
待ちきれなくなった孫はオーブンを覗きに行きました。ババからは見えませんでしたが、
「膨らんでいるよ」とルンルンスキップ声で孫は言いました。
ようやく焼き上がった抹茶スポンジに生クリームを塗ります。ここはママの仕事です。くるくると上手に巻いています。
出来上がりです。さあ食べましょうか?
いえいえまだです。出来上がった抹茶ケーキは冷蔵庫で2時間冷やさないと生クリームが溶けてしまいます。
「ババあと2時間お話ししていないとだよ。いいね」
ババは4時から7時まで、ラインで孫とお話ししています。その上、あと2時間も待っていなければなりません。一体全体全部で何時間ラインをしている事になるでしょうか?
そこにジジが帰ってきました。ママが言いました。「ババも疲れたから、抹茶ケーキが冷蔵庫に入っている間お風呂に入ってくれば」
そこでババはジジとバトンタッチしてお風呂に入りました。
さて、いよいよ入刀です。
あら、あらお皿にとり分けられた抹茶ケーキの真ん中に赤いものが入っています。
ババはその赤いものを入れるところを見逃していたようです。
美味しい美味しいとペロッと食べ終えるとお皿についた生クリームを舐めている孫。
ババは「お皿がピカピカになって洗わなくてもいいね」と言います。
するとジジが言います。
「パスタをズルズルと音を立てて食べるのと同じだよ。皿は舐めないんだよ」
ババはニヤニヤ、孫もニヤニヤ。
してはいけないことは楽しい。
抹茶はババがイタリアに持って行きました。抹茶ロールケーキを作ろうとアイデアを出したのは孫。抹茶ロールケーキの指導はママ。
親子3代の共同作業でしょうか?