2015年11月6日金曜日

四角な船を読み終えて

この小さな文庫本は
たくさんの書物の中にひっそりとはさまれていた。
表紙はもちろん、めくるページは焼けて茶褐色に変色していました。
送られてきてから3か月くらいになっていました。
いっぱい送られてきた箱の中から
私が最初に手にした本は
この井上靖著「四角な船」でした。
昭和45年から46年に連載されていたようです。
本をめくるたびに
送ってくれたSさんの心に触れるような気がしてなりませんでした。
読み進めていくと
自分とノアの方舟を本気で作ろうと考えている甍と重ねたり、新聞記者丸子と
Sさんを重ねたり、時代背景が私の青春時代だったことも
この本を読み進めるには丁度良かったようです。
時々本の中に出てくる、必要な人間、優しい人間とはいかなる人間なのかと
自問する。
また人間の幸せとは、何もかも進化した道具にい漏れている世の中に
果たして本当にあるのだろうかと
考えさせられる場面も多い。
45年はまだまだ今に比べたら、それほどではない。車も電話もそう簡単に
手に入らない時代なのだから・・・・・・。
読み進めるうちに
この作者は洪水が起きることを予測していたのかもしれない。
その、大きなものは東北の津波、それからもっと考えねばならない
福島原発。きっと何かを予言していて、甍は狂人でもあり、狂人でもない
二面性を描いたのであろうか
最後の最後まで結末が読み取れなかった。
まさかの甍の死であった。
夢で船を造ろうとしたのではない。人間を守るため、地球を守るために
船が作りたかった心のうちがとても美しく描かれていたように思う。

そして、狂人であろうがなかろうが人間はいつか死と直面しなければならない。
人間が生きていくのに大切なことは何かを問う小説のような気がした。

この本を送ってくれた主はどんな想いでこの本を読んだのだろうか
私の言えることは、ただ一つ
生きましょう、なにがあっても・・・・・・。







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