2017年1月26日木曜日

佐藤隆介先生と豆撰Ⅱ

大失敗から
数か月過ぎたある日のことです。
ANAグループ機内誌「翼の王国」から突然の電話が豆撰に入りました。
その頃の私といえば、午前中は工場に入り、工場のみんなと一緒に
油揚げの生地を切ったり、栃尾の油揚げを揚げたり、清掃をしたりと
てんてこまいでした。
午後からは、事務仕事、手書きの、伝票、送り状作成です。
今では信じられない手作業ばかりでした。
次には、妹と二人で夕方遅くまで発送用の荷物作り、
受注生産の栃尾の油揚げ作りです。揚げる枚数も少ない代わりに
ひとりで三役はこなします。でも売上は伸びず、四苦八苦の毎日です。
美味しい油揚げを作ることを目標に頑張っても
資金繰りに悩まされ、この先どうなるのだろうかと頭を抱えていた時にかかってきた
一本の電話は私たちを失意から希望へ導いてくれたのです。
「翼の王国雑誌を制作しています。
是非、豆撰さんの栃尾の油揚げを取材をさせていただきたいのです。
佐藤隆介先生の一番推薦です」
受話器を持つ私の手は震え「何?どうしたの?」なんだか頭に血が上って
ぽっーとしてしまいました。
だって飛行機会社です。今でこそ娘が海外に住んでいるおかげで
飛行機に乗る機会もありますが、航空会社なんて、とんでもないことだったのです。
そして、佐藤隆介先生と初めてご対面することになったのです。
すでに、大きな失敗をしているのですから、気取ってみたところでどうしようもありません。
ありのままの、豆撰と私たちを見ていただきました。
米屋稼業の元社長、現社長そして私。
撮影も初めて、インタビューを受けるのも初めて、元社長はざいご弁(方言)まるだし、
現社長は寡黙、私はおしゃべりウーマンと
奇妙奇天烈の三人でした。
そして、2日間びっしりの撮影も最終段階へ。
揚げたてのアツアツ油揚げを食べていただくとになりました。
さすが、佐藤隆介先生は食通の池波正太郎先生の最初で最後のたったひとりのお弟子さん。
「生搾りだからうまいね。栃尾の油揚げにかぎって油抜きは不要なんだね。
揚げたてはまた格別だね」

(栃尾の油揚げにかぎって油抜きは不要…とは一枚一枚串にさし吊るすことによって
余分な油をきるからです)
と豆撰の生搾り、新潟産大豆へのこだわりを表現してくださったのです。

三人のエピソードを交え、ユーモアたっぷりに書かれた
ANAグループ機内誌 「翼の王国」は4ページもありました。
今まで雑誌に掲載された中で、この記録はいまだ塗り替えられていません。
そして、突然鳴り続いた電話の音・・・・・・。びっくり仰天でした。
さてこの続きは次回最終回も是非ご覧ください。







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