2015年8月10日月曜日

歌を忘れたカナリヤは・・・・・・。

叔母と会っていたのは
私が小学生の頃、たぶん1年生くらいまでです。
とてもきれいな人で、髪の毛が長くて、三つ編みをしていました。
背の高い人だった気がします。
赤い着物を着て帯をしめていました。
おしゃれな人だったのでしょう。
洋服も、ドレスみたいな長いワンピースを着ていました。
叔母の部屋にはたくさんの本がありました。
漢字だらけの本ですから、私にとっては無縁でしたが
叔母は勉強のできる人なんだなあと思っていました。
その叔母は突然いなくなりました。
「どうしていないの」「どこにいったの」と母に聞いても
母は無言で首を横に振るだけでした。
母は洗濯や風呂焚き、ごはん炊きの時
よくこの歌を歌っていました。

(一)                    (四)
   歌を忘れた カナリヤは      歌を忘れた カナリヤは
   うしろの山に すてましょか    ぞうげの舟に 銀のかい
   いえいえそれは なりませぬ   月夜の海に 浮かべれば
                       忘れた歌を 思い出す
  (二)
   歌を忘れた カナリヤは
   背戸のこやぶに うめましょか
   いえいえそれも なりませぬ
 

  (三)
   歌を忘れた カナリヤは
   柳のむちで ぶちましょか
   いえいえそれは かわいそう
  

母の口ずさむこの歌は
叔母のことを語っているのではないかと
こどものころから今日まで想っていました。

いえいえそれかわいそう・・・・・・。
今日叔母の死を知り
ようやく、叔母はかわいそうでなくなりました。



0 件のコメント: