2016年10月28日金曜日

女優魂を感じた映画「百円の恋」

久々に女優魂の感じられる映画を観たようです。
安藤サクラさんの演技に、これぞ女優をやるべきして生まれてきたような、凄さを感じました。
ストリーは複雑ではありませんが、ゆれ動く心の描写の表現力に凄みを感じました。
それに、ブヨブヨな体型から引き締まった肉体美への変貌、これまた凄い。
風景が綺麗なわけではない。決まった店と、どこにもありそうな下町、庶民的なアパートが中心です。しかし主人公がジム通いで見せてくれた、鍛え方の変化は迫力満点凄い。
音楽もいい。場面と一致合体。

話は横道にそれますが、DVDを観終わっての、夕食作りに、ボクシングポーズをとり、
体を動かす、おばさんを想像してください。それだけでもこの映画の凄味だったと思うのです。
学芸会じゃないよ、これが役者ってもんだ。とタンカをきられてしまったような・・・・・・。

そして、この映画の素晴らしさは、どこにでもいそうな、個性のない32歳の女性を美化することなく、淡々ととらえたところでしょうか。
やる気のない、タバコをふかす女性が恋をする。憧れのような恋では全くない。
むしろ、やめておきなさい。と言いたいほど行き当たりばったりの、成り行きに思える。
安藤サクラ演じる女性は男が他の女性の元に行ってまったことで、
本気でボクサーを目指す姿は女としての強さと悲しさを見事に演じている。
女性版ロッキーになるのかと思うと、そうはならないところに百円に付加価値がついた映画になっている。
試合に負けて、悔しかったのではない。私からしたら、最低な男なのに、待っていてくれたことへの女心の嬉しさが、こらえきれなくなって涙に変ったような気がしました。
監督さんの意図であり見せ場のひとつなのでしょう、
男は「一生懸命の君が見ていられないから」出て行ったような
セリフ場面が中盤にあるのですが、ここは男の勝手な言い訳気持ちで
私には理解不可能。おばさんはこんなぐうたら男は捨てます。
ところが、それをわかっていても、男に恋をする主人公の気持ちにぐっときてしまいました。
映画は不思議です。安藤サクラさんを抜擢したセンスある映画に乾杯かな?

最後に血筋の凄さを感じてしまいました。


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