2016年6月18日土曜日

姉ちゃんとおばばの再会日は

姉ちゃんが、大きな目の可愛い赤ちゃんを授かってから
一ヶ月が過ぎた、雪の降る日。今から47年前のことでした。
おばばが突然腸閉塞に罹り、緊急手術になったのです。
後で私は知ったのですが、もともとの病気は肝臓癌で、
腸閉塞にならずとも余命1年と宣告を受けていたそうです。
緊急手術のため父母、姉ちゃん、叔母たちは病院へ、
私は赤ちゃんと妹と家で待つように言われました。
妹はまだ5歳でした。それでも、緊急事態を察し、私のそばを離れませんでした。
赤ちゃんが泣くと、妹は赤ちゃんを抱き、私の背におんぶさせます。
仏壇に手を合わせ祈る私をみて、妹も黙って手を合わせます。
長い長い時間でした。

母が血相かいてとんできました。
私の背から赤ちゃんを引き取り、自分の背におんぶしました。
暗い雪道を母の後を追って、私と妹は転がるように坂を下りました。
病院につくと、おばばのベットが見えないくらい、
大勢の人が集まっていました。
私と妹はベットに横たわる、おばばのそばに行きます。
心配しなくてもいいと、言っているように、少し目を開き、
私と妹に手を差しだします。
私たちの手をにぎる、おばばの手は冷たく、弱々しかった。
それから、気丈にも、「もう遅い時間だから、皆さんありがとうございます。
お帰りください」と……。

私と妹と母と赤ちゃんは家に戻りました。

それから、
ソリに乗って、おばばは山の上の我が家に帰ってきました。
帰ってきたおばばの顔には、白い布がかけられていました。
姉ちゃんと私と妹は、白い布をはらい、朝が来るまで、
泣き続けました。
姉ちゃんの命日は6月20日です。姉ちゃん57歳、私47歳の
この日、姉ちゃんはおばばと再会したのです。

「よおきたな、ちっとはやかったな、だども、こいからはずうっといっしょだこて」

命日とは
その人が大好きな人と再会する良き日と思えるようになるまで
15年の年月がかかりました。







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