2016年7月29日金曜日

沖縄の海を見つめ 2

私の小さな心臓は天まで届きそうな唸りを上げてしまいました。
上り線に乗車してしまった私と娘は急いで、越後湯沢を降り、次の新幹線を待ちました。
その間に叔父の携帯にことの次第を説明し、新潟駅ホームで待ってもらうように連絡。
次の新幹線の来ることの遅いこと。30分はまるで悪魔によって、時計を逆回転させられたようでした。
新潟駅にて待つ叔母の顔色と言ったら、顔面蒼白、瞬きもせず、
私を見つめる瞳は切なく、悲しい気持ちがいっぱいでした。
ごめんね、ごめんね。と謝る私に、
「もう行けないかと思った」と一言、そして安堵の笑みをのぞかせていました。
タクシーで空港に到着。
到着と同時に痛み止め薬も効かなくなり、足に刺す鋭い痛みが叔母を襲ってきました。
そして、 それは痛みだけではなかったのです。
右半身の運動機能がおかしい。足が前に出にくいのです。
この時、すでに病魔は脳を侵略し始めていたのです。

とりあえず、痛み止めを服用し、なんとか搭乗手続きをすませる私。
私が車椅子移動を提案するものの、叔母は断固として拒否。
叔父の肩につかまり、支えられ飛行機になんとか乗ることができました。
窓から、新潟の地を見下ろし、雲の中に入ると、それはそれはうれしそう、まるで少女の顔をみているようです。叔母の夢はスチュワーデスだったこと。英語が得意で、いつも英語の辞書を楽しそうに開いていたこと。叶わなかった夢を見ているような大きな瞳はキラキラしいました。

痛みも和らぎ、新幹線騒動もなんとか切り抜け、
さあ、いよいよ沖縄の地に。
首里城を目指して、突進です。タクシーのおじさんに今夜泊まるホテルの名前を話すと、ここですよと教えていただきました。
首里城に到着し、お腹も空いていたので、まずはお昼を食べることにしました。
この首里城見学では、さすが叔母も観念して、私のすすめた車椅子移動をしぶしぶ受け入れ……。
チケット購入場所に。
あれ、どうしたの?ないないない。ない。クーポンから財布を入れた小さなバックが
私の手にない。全てがない。
叔母は二度目の顔面蒼白。

今度は目の前での失敗です。叔母はまたまた、瞬きもせず、私を見つめるのでした。
さてこの先はどうなったでしょうか?
次回に続きます。

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