友達のお母さんは91歳、軽い認知症。
私の母は85歳、認知症である。
車の運転は友達。私は助手席に乗り、
ふたりの母は後部席に乗ります。
私たちは、たわいもない、家族の話や仕事の話。
最近観た映画や今読んでいる本について、
ワイドショーなみに次から次へと話題が変化します。
時々、後部席の母たちに
「信濃川が今日は綺麗でしょ、温泉に行くんだよ」と
声をかけ、気を遣います。
海が見えてくると、お友達のお母さんは、
「いい天気で、連れてきてもらってよかった」と感嘆の声をあげます。
私の母は、ただ、ニコニコとうなずくだけ。
海の向こうに見える佐渡をながめながら、湯に浸かる、至福の時。
お風呂で、私たちより少し年配の方に
「お母さんですか?親孝行ですね」と声をかけられ、
友とふたりで顔を見合わせ、
ついでの親孝行も悪くないと自己満足する友と私。
大広間は四人だけでした。
大きな窓から眺める水平線が幾分弧を描いている。
静かに寄せる穏やかな波。
ここは日本海、太平洋なら娘の住む海にまっしぐらなのにと
つぶやく私・・・・・・。
大きな窓からトンビが優雅に舞っている姿を発見したのは
友達のお母さん。しばらくその飛行を楽しむ。
電信柱に止まり、右の方向を見ているのです。
すると、右方向からもう一羽のトンビがやってきました。
それぞれが、電信柱に止まって、しばらく休憩しています。
私たちもトンビの姿を黙って見つめていました。
いつの間にか、少し余裕ができ、認知症の親をみる歳なった私たちです。
嬉しいような、さみしいような複雑な気持ちでしが
「また。4人で来ましょう」と約束をし、温泉を後にしました。
2 件のコメント:
私は母親を7歳で亡くしました。
とても寂しい事でしたが今自分を振り返ると 親を見ると言う事が無い事は
とても楽なんですが やはり親は居た方が良いと思います。
最後まで頑張って下さいね。
大変だったのですね。
日頃の不平不満をお許しください。
時々志田さんを思い出すようにします。
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