2016年6月4日土曜日

初老の友ふたりが介護する母



友達のお母さんは91歳、軽い認知症。
私の母は85歳、認知症である。
車の運転は友達。私は助手席に乗り、
ふたりの母は後部席に乗ります。
私たちは、たわいもない、家族の話や仕事の話。
最近観た映画や今読んでいる本について、
ワイドショーなみに次から次へと話題が変化します。
時々、後部席の母たちに
「信濃川が今日は綺麗でしょ、温泉に行くんだよ」と
声をかけ、気を遣います。
海が見えてくると、お友達のお母さんは、
「いい天気で、連れてきてもらってよかった」と感嘆の声をあげます。
私の母は、ただ、ニコニコとうなずくだけ。
海の向こうに見える佐渡をながめながら、湯に浸かる、至福の時。
お風呂で、私たちより少し年配の方に
「お母さんですか?親孝行ですね」と声をかけられ、
友とふたりで顔を見合わせ、
ついでの親孝行も悪くないと自己満足する友と私。

大広間は四人だけでした。
大きな窓から眺める水平線が幾分弧を描いている。
静かに寄せる穏やかな波。
ここは日本海、太平洋なら娘の住む海にまっしぐらなのにと
つぶやく私・・・・・・。
大きな窓からトンビが優雅に舞っている姿を発見したのは
友達のお母さん。しばらくその飛行を楽しむ。
電信柱に止まり、右の方向を見ているのです。
すると、右方向からもう一羽のトンビがやってきました。
それぞれが、電信柱に止まって、しばらく休憩しています。
私たちもトンビの姿を黙って見つめていました。

いつの間にか、少し余裕ができ、認知症の親をみる歳なった私たちです。
嬉しいような、さみしいような複雑な気持ちでしが
「また。4人で来ましょう」と約束をし、温泉を後にしました。

2 件のコメント:

shida さんのコメント...


私は母親を7歳で亡くしました。
とても寂しい事でしたが今自分を振り返ると 親を見ると言う事が無い事は
とても楽なんですが やはり親は居た方が良いと思います。
最後まで頑張って下さいね。

れいちゃん さんのコメント...

大変だったのですね。
日頃の不平不満をお許しください。
時々志田さんを思い出すようにします。