2020年11月26日木曜日

佐賀行きの便り




 あれから40年以上の月日が経つのに

私の頭に浮かぶあなたは5歳の幼児。

佐賀からの車窓写真が届く。

栃尾の風景に似ているとあなたはメッセージと写

真を送ってくれる。

遠い出張で大変だけれど、行ったことのないとこ

ろに行けるのは嬉しいもの。

メッセージのやりとり

「私はピアノの練習をしているの」

あなたのお返事は

「俺も空港や駅で弾くピアノに魅せられピアノ始

めようかなって思っている」

私は30年以上もピアノに触れていなかった。

それに

あなたは覚えていないかもしれないけど

保育園の発表会で私は上がってしまって

あなたの出番のセリフを飛ばして

ピアノを弾いてしまった。

口を尖らせ、あなたは

「俺のでばんがなかった」と抗議したよね。

「ごめんね」と謝った私。

あなた達のオペレッタなのに

私は間違わないようにピアノを弾かなければと

頭が宙に浮いてしまったの。

車窓を眺めて私とメール会話するあなたは

5歳。



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