2020年11月30日月曜日

はじめて聴くフジコ•ヘミングのカンパネラ




 興奮したのだろうか、いつもより1時間早く目が

覚めてしまった。

ここは泉慶さんの一室だ。妹とお友達に3人の

お部屋だ。

彼女達はスヤスヤである。

フジコ•ヘミングのカンパネラを思い出す。

ピアノからは遠くフジコさんの顔や手が見えない

S席にしなかったことを後悔した。

指揮者に手を引かれ、ステッキをつき

腰はまるで畑仕事をした老婆のように湾曲してい

る。

ご挨拶は「ようこそありがとうございます。今日

は体調が良くありません。手が痺れうまくひ

けるかどうか・・・」

口の中にこもった声は限りがありますと

言っているようだ。

隣には楽譜を持った女性が物静かに座って楽譜を

聴いている。

オーケストラと一緒に自分のパーツを弾く。

40%の聴力でよくオーケストラと合わせられる

指揮者の力だろうか。

フジコさんの生演奏は人生初である。

YouTubeやテレビ時々妹のCD

それだけだ。

いよいよクライマックス。ピアノだけの

演奏。もちろんカンパネラである。

クラッシクにうとい私には譜面通りなのか

フジコ流なのかわからない。

しかし私の耳に届く鐘の響きは

ひとりの演奏ではなかった。

何人もの人が弾いているように響き渡る。

まるでフジコさんの人生に関わった人が順番に

弾いているようだ。私の心に映像が流れてくる

最後はノクターンで終わる。

無言でステージから去る姿

黒のドレスに白のショール

このまま倒れてしまうのではないかと心配になる

生きているこの時は

「私の演奏」ですと言わんばかりの魂の演奏だっ

た。




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