2016年5月20日金曜日

流す涙の数は同じでした。


 「殿 利息でござる」と「海の上のピアニスト」の二本を観ました。私の少女期には映画と言えば2本立て。何十年ぶりの二本立てだったことでしょうか。
「殿 利息でござる」は映画館で観ました。「海の上のピアニスト」はDVDを朝方3時に起きて観ました。邦画と洋画の違いはありますが、片方が正義ならばもう片方は哀愁でしょうか。
「殿 利息でござる」は日本人好みの内容です。水戸黄門タイプでしょうか。心臓病を患っている私には精神の安定が一番の良薬です。ひと癖ふた癖もありそうな悪人面が、だんだんと良い人になっていくのです。悪人顔なら日本一と言っていい顔立ちの山崎努。
悪人を装っても、どこかに人のよさそうなお坊ちゃん雰囲気の妻夫木聡はやはり良い人だったのです。喜劇タッチで面白い。何よりスケートの羽生さんの友情出演は観る人を楽しませてくれました。
この演出には観客動員を図った話題性もあるのでしょうが、結構いい感じ。スケートの次は俳優もありかと思ってしまいました。
一方「海の上のピアニスト」は最初から重い。ヴァージニアン号に捨てられた赤ん坊はレモン1900と呼ばれる。黒人機関士ダニーに育てられ、「ママってどんな人」と尋ねるところから、切なくなっていきました。ダニーとレモンのコミカルな会話に心が落ち着き、笑いも生まれました。ところが、ダニーは事故に逢い、あっけなくに死んでしまうのでした。「殿利息でござる」のように話が良い方へとは進まないのでした。その後、レモン1900はヴァージニアン号から一度も陸に上がることなく、海の上のピアニストになり、友人マックスと出会う。船上で見かけた女性に恋をして、一度は陸に上がろうとするがタラップを降りることはできませんでした。この映画はなぜ観る人の心をこんなに切なく、悲しくさせてしまうのだろうか、素晴らしい映画とは心を寂しくさせることでしょうか。まったく真逆の世界を表現するふたつの映画。心臓に良い映画は「殿利息でござる」
心臓には少しきついが心に残り、人生の終わりについてを考えさせられるのは「海の上のピアニスト」、どちらも流す涙の数は同じで、感動の映画でした。


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