2013年7月25日木曜日

朝の音

私は築100年以上の古い家に生まれ育ちました。
台所と居間は一緒で、20畳くらいの広さでした。
その部屋には二階がありません。囲炉裏があり、天井の柱はすすで真っ黒でした。
もちろん、今のようにシステムキッチンなどありません。
古ぼけた大きな食器棚に、古い皿とお椀がぎっしり詰まっていました。
水は井戸からくみ上げて使っていました。

幼かった私は、この台所から、「トントン、とんとん」と聞こえてくる、
包丁の歌で、目を覚ましました。
目を覚まし、荷屋に行けば、糠釜から「ぽっぽぽっぽ」と湯気の音がします。
私は、おこげのご飯の炊けるのを今か今かと待っていました。
母の作る、ごはんと味噌汁とつけもの・・特別な日は栃尾の油揚げの煮物に
玉子焼き・懐かしい想い出・・・


そして、時が流れ夫の元へ嫁ぎ・・

夫は
「お袋が朝、飯作って、礼子が掃除をして、二人の会話と笑い声で、目が覚める、俺はこの瞬間がうれしいよ」
とつぶやいた事がありました。30年も前のことです・・・。



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