その日は雲ひとつない、まさに晴天の日だった。「今日まで ありがとうございました」と両親にひざまづき映画のワンシーンのように言うつもりであれこれと考え眠らない一日を過ごしたあの日。でも、花嫁衣装をまとった私は一言も言わずに階段を降りた。すると階段の下で父と母が涙を堪えて立っていた。父が私に言った言葉は今でもはっきりと覚えている。「いつでも戻って来い」この一言に私は透明なガラスで作られた心が音も立てずに崩れていったようだった。父も母もこの日は生涯で一番悲しい日だったのです。
あの日から47年が過ぎた。私と夫の間にひとり娘が生まれて、9年前には孫が生まれました。仕事一筋に生きてきた50年でしたが、このふたりの誕生が唯一の私の宝物となって明日を生きる糧になっています。
日日是好日