2016年12月10日土曜日

この世界の片隅に

栃尾から新潟に向かう
最初はどんよりと灰色の雲におおわれ、白いものがチラチラ
高速にのると、いつの間にか青空になっていました。
まるで「この世界の片隅に」で主演していたすずさんの心のように……。

お友達が言いました。
「期待を裏切らない映画です」と。
まだ私が生まれる前の昭和の風景は、広島と栃尾ではとても距離があるはずなのに、描かれている自然、そして家の中に置かれている和ダンス、ちゃぶ台、かまどなどがとても柔らかく、懐かしさがこみ上げくるものでした。
主人公のすずさんの声はのんさん。のんさんがすずさんなのかすずさんがのんさんなのかわからなくなるほどピッタリな役。ちょっと甘くて、鼻にかかった声に引き込まれるのです。絵を描くことが大好きなすずさん、短くなった鉛筆を大切にするすずさん。なんて素敵な絵とストーリーでしょうか。
何気なく使っている言葉「よかった」を考えさせたり、当時のカフェで働く女性のことを考えさせたり、初恋から大人の恋に目覚めたり……。
ラジオから流れる雑音混じりの音を明治生まれだった祖母が
幼い私に繰り返し語ったことを思い出したり、
時々、大粒の涙をこぼす、すずさん。私の頬に熱いしずく。
時々、すずさんの優しい笑いに私もクスッと笑う。

「この世界の片隅に」が多くの人を映画館に引きつけた最大の理由は
柔らかい線だと思いました。戦争映画といえば、悲惨、残酷、のシーンをリアルに演出します。
この柔らかい線は戦争の定義からはみ出して、いつでも、どこでも
あなたと一緒にいたい気持ちがいっぱいでした。
私を含めみんなが心の片隅にこの気持ちを持っているはずです。
だから、
二度と戦争をしてはいけないはずです。

お友達の推薦通りの映画でした。
すずの心は青い空のようでした。





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