実家の両親の部屋の片づけをしていた。
小さな箪笥は見覚えがある。
私の祖母が嫁入りの時に持参したと聞いている。
祖母が生きていた時はこの箪笥に
嫁入りの時にさしたという鼈甲のかんざしが入っていた。
母はそのかんざしを大切に持っていて
結婚式などのお祝いには必ず髪にさしていた。
そして、わたしの娘の結婚披露宴に娘の髪にさした。
今は妹が所持しているはずだ。
さて
その箪笥から出てきたものは
大切そうにしまわれていた風呂敷包みの紐を
といてみると、何枚もの般若心経の写経が出てきた。
末尾に大橋ツギと記されてある。
その中で一番うまく写経できたものが
額に収められ床の間に飾ってある。
生前父が話していた
「ばあさんが一生懸命書いたものだ、額に入れてやった」と
一方的な喧嘩でいつも母を怒鳴っていた父の
夫としての優しさをはじめてみたような気がした。
母70歳、父71歳。20年も昔のこと。
母の写経を見ていると父が毎日唱えていた般若心経が
聞こえてきた。
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