2017年1月25日水曜日

佐藤隆介先生と豆撰

長い事、豆撰の本棚で眠っていた一冊の本、 佐藤隆介著「池波正太郎の愛した味」を
手に取ってみると
豆撰が創業して、間もなかった頃のある事件が懐かしく蘇ってきました。

それは
郵便箱に眠っていた一枚のお手紙からはじまりました。
「栃尾の油揚げを友から頂きました。今まで食した栃尾の油揚げとは違う・・・
送ってください・・・」

この手紙は発見された時の半年くらい前から、
誰にも気づかれずに、壊れた郵便箱の下に挟まれていたのです。
それを見つけたのは亡き父でした。…手渡されたお手紙を開封した時の
私の慌てようといったら、
今思いだしても心も体も凍りそうです。
なぜなら、栃尾の油揚げを送ってくださいと書かれた白い便箋と
一緒に1万円札が入っていたのですから。
今日ある郵便箱はその時、二度とこのようなことが起らないようにと
亡き父が新しく買ってきてくれたものです。
あれから25年も過ぎてしまいました。
それから、事の次第を書き、申し訳ございませんの謝罪文を書きました。

すると、お手紙の主、佐藤隆介先生からお電話がかかってきたのです。
「どうしたのかと思っていたけど・・・そういうわけだったんだね、じゃあ、油揚げ送ってもらえるかね」の声に、人の優しさと寛容な心に感謝するのみでした。
そして、佐藤隆介先生は新潟ご出身であること。池波正太郎さんのお弟子さんだったこと。
文筆がお仕事であることを教えていただいたのです。

この大きな失敗が大きな転機を迎えるのでした。
この頃、栃尾の油揚げは世の中に知られつつ、ちょっと有名になりつつも
「豆撰」のことを知る人は、ほとんどいなかったのですから・・・・・・。

この続きはまた。


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