2017年1月28日土曜日

佐藤隆介先生と豆撰Ⅲ 希望と感謝


「翼の王国」が豆撰に届き、
間もなくのことです。
突然、奇跡のように電話が鳴るのです。
「翼の王国を読みました。栃尾の油揚げを送ってください」
嬉しくって、嬉しくって、それは、一週間以上も続いたのです。

こだわって、こだわって、作ったはずの栃尾の油揚げでしたが、
思うように売れず、資金繰りに四苦八苦、「こんなはずでなかった。
どうしてあぶらげやをはじめたのだろうか」と
当時の私は後悔ばかりして、何度もこっそりと涙を流していました。
辛い日々でした。
それが佐藤隆介先生の記事のおかげで、予期もしない反響です。
私たちの失望は希望に変わっていきました。
栃尾で一番美味しいといわれる「栃尾の油揚げ」を作ろうと
夢を掲げ、豆撰を立ち上げたはず。
後には戻れない、進むしかないと気づいたのです。
それからも、数回佐藤隆介先生の著書に紹介していただきました。
・・・・・・それなのに、ここ数年その御恩も忘れ音信不通の不義理をしていました。
「池波正太郎の愛した本」を今こうして読み返すと
この本の中に
越後のほぼ真ん中の山中にある栃尾の「豆撰」から油揚げを取り寄せて食べるたびに、
ああ、これを一度亡師に食べてもらいたかったな・・・・・・と思う。と書かれていたのです。
とても、熱いものがこみ上げてきました。
あれから25年も過ぎ、今ではあの頃よりお客様も増え
豆撰にあつあつの油揚げを食べに、わざわざ遠くからおいで下さる方もいます。

佐藤隆介先生に出会えて良かったことを今あらためて
思い出しています。
そして、28年目を迎えた豆撰です。その間にたくさんの方と出会いました。
皆様、ありがとうございます。
挫折しそうになったら、この道、この本を思い出すことにしようと思っています。


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