2020年2月23日日曜日

おかえりなさい 奇跡の人

吉田病院のすぐ隣に
素敵なカフェがある。
療養入院をしている母を見舞う日に、ランチタイムや
息抜きに立ち寄っていた。
カフェの主は同年齢の女性。
優しい話し方が心をひきつける。
いつしか、家族のこと、仕事のことを話すようになった。

1年前のある日突然、ドアに張り紙。
「入院のためお休みさせていただきます」
ひと月すぎ
三月すぎ
春が来て夏が来て冬が来て
1年が過ぎた。

張り紙はそのままだった。

今月のある日
妹から奇跡の声
「あのカフェ再開したようだよ」

昨日恐る恐る
ドアを開ける。

優しい女性が笑っていた。
お互いに涙が光る。

1年前、交通事故に遭い、3か月の入院生活。
それからリハビリの日々だったそうです。

私と女性が話をしていると
カウターに座っている若い男性が
私をみつめ微笑む。
彼のお母さんとカフェの主はお友達だったと話す。
やっとお知らせができましたと彼は言う。
カフェの再開を心待ちしていたのであろう。
彼のお母さんは亡くなっていた。
彼は亡くなったお母さんの面影を
奇跡の人に求め、安らぎを感じているようだった。

1年ぶりにいただくコーヒーはほろ苦く美味しかった。







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