2021年4月11日日曜日

少年時代へタイムスリップ













3組の老夫婦一泊旅行に

福島方面に行くこととお花見をすること以外は

頭の中に入っていない旅である。

Kご夫妻が長年仕事で通った町と村の散策

をする。喜多方の枝垂れ桜はまだ若いが

並木は果てしなく続き壮観だ。

お宿はこじんまりとしているが小洒落た作り。

全く密にならない秘境の宿に安心。(湯野上温泉)

お部屋にかけ流し温泉風呂がついているのも嬉し

い。翌日は早めに宿を出て大内宿へ。

茅葺の家が両脇に並ぶ。小川が流れていて

あさつきを洗っている人に出会う。

福島なまりに飾らない、ひと昔前の人情を感じ

る。

それから昭和村へと向かう。

随分人里を離れ、くねくねの山道を走る。

新緑にはまだ早いが自然林を抜けて行く。

そこに昭和村があった。現代風の建物は一切な

い。忍者村のようにひっそりとして

いる。たった一件だけ民家とは違うレストハウス

がある。

大芦家のそばとあんこもちとコヒーの3点

セットには脱サラし、秘境の地で営むご夫婦の夢

と心のこもった愛の味がいっぱいだった。

お腹もいっぱいになり最後の目的地に向かう。

k夫妻の生徒さん、ももちゃんに会うために。

ももちゃんは床屋さんだった。

そしてももちゃんは80歳を過ぎていた。

一枚の写真を見つける。

映画「おかあさんの被爆ピアノ」の監督から

いただいたDVD「少年時代」の楽譜のパネル。

ググッと込み上げてくる。私は少年時代に

飛んでいった。

いよいよクライマックス、廃校になった喰丸小学

校である。校庭には大きな銀杏の木がある。

木造校舎に入ると昭和のにおいがする。

廊下の板、階段の踊り場、だるまストーブ、

机、どれもこれも懐かしく、そこには60年前の

私が立っている。

戦争は知らないけれど、目を閉じればふたりの少

年の顔が浮かぶ。

もう一度少年時代を観ようと思った。

お友達の想い出の地を訪ねる旅は粋なものだ。









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