初めて出会う作家井上靖。
FBのお友達に勧められて読んでみました。
少し、後ずさり、果たして私に理解できるのだろうかと
不安な気持ちを持ちながら読みました。
読み始めると、私の生まれた時代よりも、昔に戻りますが、
馬車が走っていて、土蔵のある家、まるで明治生まれの祖母が語って聞かせていた時代のことです。そして、おぬい婆さんは、私の祖母であり、主人公は私の幼少時代のようで、感情移入してしまいました。特に母親とおぬい婆さんに関する洪作の気持ちは、とてもよく理解できます。なぜなら、私自身が祖母に溺愛され中学になるまで、祖母と一緒の部屋で過ごしたからです。
同じ屋根の下に住んでいても、母は遠い存在だったのです。
母親に素直に恋しいといえない複雑な想いは、私の心にしみわたり、自分を振り返っていました。
私の祖母はいつも、私が生まれる前に死んだ自分の夫について、道楽者で、芸者通いばかりしている、駄目亭主だったと聞かされていました。ところが、父の話によると、祖父は町会議員をし、村のために貢献していたと聞かされたことがあります。
この時代を生きた長は勝手です。
そして、洪作の時代の女性は哀しい人生を我慢して生きてきたのだろうと、時々夫婦ゲンカをして、自分を主張できる私はいい時代に生まれたものです。洪作の多感な少年時代は誰にも似たような背景があるのではないでしょうか、立場や環境は異なっても、思春期に感じる想いは生きていく
それぞれ誰もが通る道であると、感じながら読み進めました。
人生を少し長く経験してから、読む、「しろばんば」は懐かしくもあり、哀愁がただよう本でした。
違うところは、おぬい婆さんと洪作は血がつながっていないことです。
この部分はこの小説の主題かもしれないと感じながら読み終えました。
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