2016年9月3日土曜日

鐘楼のふたり

青木ヶ原樹海の森で出会った若いふたりと初老の男性。
この撮影場所は映画「追憶の森」で渡辺謙さんが主演されていたところですが、
その映画よりも先に樹海を舞台に撮影された「鐘楼のふたり」は五藤利弘監督作品です。この映画の魅力は森の中の明暗です。若いふたりに降る、木漏れ日の美しさ、
癌に冒され、死に場所を求めた初老に射す影と光。
この美しさは自然光だからでしょうか?
私の憶測です。
最近の映画はCGばかりが目につく中で、私にとって「鐘楼のふたり」は癒しの映画のような、心に響くものでした。
そして、いつか誰にでも、迫ってくる老いに対して
前向きに、残された人生、後悔しないように、自分らしく生きたいと
思わせてくれる映画でした。
特にラストシーンの初老の男性が電車に乗る、若いふたりが見送るシーンに
残りの人生再出発の重さと優しさを伝える表現は五藤監督の持ち味であり、
こだわりかもしれません。

この上映の前に、「モノクロームの少女」に深くかかわった
俳優加藤武さんと恩人諸橋酒造社長の追悼フィルムが
音楽スネオヘアーさんの曲とともに回されました。

監督の想いに熱いものが流れたのは私ばかりではなかったのではないでしょうか。





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