舞台袖からステージ中央に置いてあるピアノに
向かってもうひとりの方と腕を組んで
盲目のピアニストは
軽やかな足取りでピアノの前方に立つ。
ステージから観客へ向かって左右、真ん中に
深々とお辞儀をする。椅子に座り位置の確認を
丁寧にする。しばらくそのままで曲想のイメージ
を測っているようだ。
鍵盤に指が走る。シューマンの蝶々からはじま
る。彼の演奏を聴くのは、今回で3回目。
これがピアノの音色なのか、ハープの音のように
滑らかに聴こえる。
まるで早送り動画のような神の響きが鼓膜に
響く。
今回はオーケストラなしの辻井伸行オンリーワン
の世界が広がりただただ素晴らしい。
アンコールに応える天才ピアニストは聴く人に
さらなる感動を与える。そして自らの感謝の気
お持ちを言葉にし
自作の曲「笑顔で会える日のために」をゆったり
と穏やかに弾く。
コロナもいつかきっと終わる日が来るはず。
いつか弾いてみたいと思った。
鳴り止まない拍手に応え「カンパネラ」を全身全
霊で私たちに届けてくれる。最高で素敵な感動に
涙の雫がこぼれる。
最後に笑いながら今日はおしまいですと言うよう
にピアノの蓋を閉じてステージを去る。
お友達と一緒にランチを楽しみ
感動を分かち合える喜びは至福の一日だった。
0 件のコメント:
コメントを投稿