テレビの音もしない。台所の音もしない。
夫の音もしない。
時計は11時を指している。
静かな私だけの空間にピアノのふたを開く。
ピアノをはじめて4ヶ月。ピアノが届いてひと
月。義父の旅たちの日だった。
簡単楽譜とはいえ私には難しい「悲愴」の曲
今日は特等席にひとりでいるような気分
で弾けた。
あの映画「おかあさんの被爆ピアノ」が作られて
いなかったら、一生この空間でこの時を感じるこ
とはなかったであろう。
ピアノはいつもより素晴らし音色を聴かせてくれ
たように思う。
日本映画復興奨励賞の受賞
届いた知らせに涙があふれた。
レミングスの夏試写会後におきた事故の報告
奇跡的に無傷だった五藤監督の執念。生かされて
思い続けてきた映画「おかあさんの被爆ピアノ」
へのご褒美であろう。
いつかまた私が弾きたくなる映画を作ってほしい
と願う。
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