2015年5月1日金曜日

細雪を観る

新潟県民会館にて「細雪」を観てきました。
豪華な女優陣の艶やかな着物姿に、日本人の文化は世界に誇れるものとあらためて感じ、
うっとりと魅入る。原作は谷崎潤一郎の妻をモデルに、書き下ろした細雪。
四人姉妹のそれぞれの生き方がこの舞台の艶やかな着物に表現されていたようです。
高橋惠子が演じる大阪の老舗を父から受け継ぐ長女鶴子は気品があり、
原作者の妻がそのまま小説の中から飛び出してきたのではと、格式と威厳を感じさせます。
賀来千香子の演じる次女はこの舞台の主役の中の主役の役割を見事に演じていました。
彼女はドラマより、舞台の方が似合っている、声の質が舞台向きだと思いました。
三女役水野真紀と四女役大和悠河の二人も、それぞれの個性を上手く引き出し、
可愛い役柄でした。生まれ、育った環境が同じでも、それぞれの生き方は同じではない。
格式ばかりにこだわる鶴子の口から夫に「あなたについていきます」と言う場面は女性ならば
必ずうなづくでしょう、実に女心をとらえていました。自由奔放な妹に「あなたは私の妹にはかわりはありません」このセリフに自分を重ねていました。ラストシーンの舞台演出が粋で見る側を楽しませてくれました。しだれ桜が天から舞い降りる大道具に、この舞台の大きさを、そして作者が亡くなられて50年の記念公演としてとても意義のある素晴らしい舞台だった。
心の傷はいつか、時が過ぎると癒える 。苦労のために生まれてきたのではない、その苦労を乗り越えるために、四人姉妹も私も、そして多くの人たちはこの世に生まれてきたのかもしれないと思いました。細雪のように。
そして、いつものように原作を読まなければと思う私でした。





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