2021年2月18日木曜日

母は目を開きうなずくのです

 一年と2ヶ月ぶりの面会だった。

コロナウィルスは母と娘の距離を離していた。

突然の電話を受け

妹と療養病棟に向かう。

主治医の女医は丁寧に病状を説明する。

苦しみはなく過ごしているが心臓が相当弱ってい

るとのこと。いつ止まってしまうかわからない状

態を申し訳なさそうに物静かに話してくれる

女医の優しさに感謝する。

病室に案内され。母を見舞う。目を閉じ眠ってい

るようだ。呼吸は少し荒く感じた。

言葉が話せなくなり2年が過ぎようとしている。

私たち姉妹のことも認識できないだろうと思いな

がら、耳もとで母を呼ぶと目を開ける。

そしてまたくるから頑張ってと声をかけると

かすかにうなずく。

このうなずきに涙が溢れてしまう。

無情なコロナウィルスのせいで

母との面会は最後になるだろう。


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