昨日観た映画「日本のいちばん長い日」は新作映画でした。
その前に撮られた作品を探しに行ったのですが
見つけられませんでした。
そこで、見つけたのは船越英二主演の「野火」です。
人間の限界とはなんと哀しいものでしょうか。
昨日の映画が美談とされるなら
今日の映画は真実かもしれない。
残酷、卑劣、飢餓、どの言葉を使えばいいのでしょうか
市川監督の命題とは何なのか
人間の感情は極限ではどう変貌するのか
ただただ、画像の進むまま
目を離さず観ていました。
敵地の十字架に何を求めたのか
船越英二演じる田村の遠くを見つめる意識のない瞳と
覚悟をする鋭い瞳がせつない。
私は15歳。栃尾高校に入学した45年前のことです。
地理の先生は米山先生。
当時もかなりの年配でおられ、地図、特に世界地図を書くのが
お得意の先生だったように記憶しています。
15歳の私は全く地理には無関心。先生の話ははほとんど右から左通過。
それでも、同期だったと語る船越英二談話になると
先生の話に耳を傾けていました。
飛行機の話がほとんです。そしてそのころテレビドラマによく出ていた
船越英二さんの自慢話をするのです。
ふたりとも予備軍だったのだろうか。
「運がよかった、俺も船越も」と語るだけでした。
何故、先生は飛行機の話や同期の俳優の話に夢中になっていたのに
肝心な戦争のことはほとんど話さなかったのか、
「野火」を観終わって、その訳が
今わかるような気がする。
随分前に先生は亡くなったと風の便り聞いています。
この映画が真実であれば、そして先生が体験していたならば
15歳の高校1年生に語れない真実を胸にしまっておられたのでしょう。
心が重くても、これこそ真実かもしれないと
感動とはほど遠いが心に深く残る映画となりました。
そして、この映画がモノクロであった事に安堵しています。
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