2016年4月19日火曜日

映画「あん」と本屋大賞「羊と鋼の森」

退院して1日目はのんびり過ごしました。
体の調子は想像以上に良好なのに、どうしても仕事のスイッチは入りません。仕事以外に趣味のない私に何が起こったのでしょうか?いつもと同じ時間に起きていつものようにサッサとお掃除と洗濯を済ませると、どんとリビングに腰を下ろし、昨日病院帰りに買ってきた本屋大賞「羊と鋼の森」を読む。調律師の物語。とても読みやすく、次へ次へと本をめくる私。内容が、とてもさわやかである。後味の良い本で、一気読み。午前中に読み終えました。自分の仕事と重ねていたかもしれません。栃尾の油揚げ作りは、調律師の心と同じだと思ったからです。土台が全く同じだと思ったのです。あぶらげ作りは技と経験と科学的な根拠が必要です。そして、一番は心です。作り手の気持ちとでもいいましょうか。一枚のあぶらげを仕上げるには、あぶらげの心を知らないと、美味しい完璧なあぶらげはできません。一年に満足を得られるのは数パーセントです。それほど繊細な食品です。豆の質、水温、室温、による変化。奥が深いのです。生地の硬さ、柔らかさ、弾力、手に乗せた時の繊細な感覚。残念なことにその繊細な感覚はその人が感じなければ、なかなか教えられるものではありません。
この本が描いている繊細と愛は、あぶらげ作りの心と同じなのです。
  午後からは「あん」をお友達と一緒に観ました。偶然は重なり、本と同じような内容です。こちらもまた餡をとおしての愛です。ものつくりの心は素材に愛を感じられるかどうか、そして樹木希林さんの自然な表現、社会問題も含め、心に響くのです。この3拍子揃った偶然に、不思議な気持ちになりました。桜の季節から秋になり、また桜の季節が巡る。季節の中に愛が生まれる。私は……本と映画とあぶらげ作りの愛を交差させながら、もう一度しっかり向き合うべき仕事について、ちょっとだけ病気のせいにして、やる気が出るまで、好きな映画や本を読み、堆肥作りに励みましょう!


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